火中の栗を拾った

投稿者: | 2025年12月16日
火中の栗を拾った

山のうんちくをひけらかしていたら、火中の栗を拾う羽目になった。

今年はクマによる人的被害が急増した。あちこちから要望もあったので紙面に出そうとなった。そこまでは理解できる。しかし、そこでなぜ自分にお鉢が回ってくるのか?

自分はスポーツ部の記者だ。登山を担当しているから遭難や自然保護の記事はこれまでも書いてきた。シカは環境問題で少し触れたことがあったかもしれない。でも、クマについては全くの素人だ。

もちろんクマ被害の急増に思うところはあった。最近、山で人をそれほど恐れない野生動物が増えた気がする。カモシカは前からそうだったけど、ほかにも夜行性のアナグマが白昼堂々と歩いていたり、逃げずにこちらを見ているシカがいたりする姿を何度か見た。特にコロナ以降、顕著になったように思う。人間と野生動物との関係が変化してきているのではないかという感じはもっていた。

職場でクマの話題になった時、そんな話をしたことはあった。でも、野生のクマに会ったことは一度しかない。それも北アルプスの稜線を歩いているときに、谷を挟んだ対岸の斜面を駆け上がっていく姿を見ただけだ。だから大した知識があるわけではない。なのにそれが、「A山がクマに詳しいらしい」という話になって指導部に伝わり、「おまえがやれ」となってしまったのだ。口は災いの元。

山岳遭難の研究者が、UIAAの会合で「野生動物の襲撃」という遭難態様の項目を紹介すると「非常に受ける」と話していた。クマとの遭遇は世界的にも珍しいことらしい。クマは豊かな自然の象徴なので、できる限り仲良くやっていきたい。なので、腰の引けてる記者に任せたくないなあという思いもあって引き受けた。

取材するまでは結構大変だったものの、対応してくれた農工大の先生はこちらの立場も理解してくれた上で政策面も含めて的確な解説をしてもらえ、大変ありがたかった。取材した内容の4分の1くらいしか出せなかったけど必要な内容は網羅できたと思う(12月13日付に掲載)。

ただ、今年は人的被害が激増したためクマが注目されたのだけれども、本当に深刻なのはシカの方だろう。ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマ、カモシカ、ニホンザル、ヒグマといった大型野生動物は、ここ40年で生息域を増やしている。生息数も増えているが、カモシカだけは減っているという。それはシカが増えてすみかを追われているからだ。温暖化による降雪量の減少で尾瀬や上高地まできているらしい。「特に高山帯は深刻」と農工大の先生は言っていた。カモシカは加治丘陵や飯能周辺の里山でよく見かけるから多いのかと思ったら違った。ドーナツ現象が起きていて人里に追いやられているだけのことらしい。

ニホンジカ
ニホンジカ
カモシカ
カモシカ

このままでは生態系が変わってしまう恐れがある。シカ問題は、もっと注視していく必要があるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です