静岡の海岸で拾ったひすいっぽい石を鑑定してもらうためフォッサマグナミュージアム(FMM)にいってきた。FMMは糸魚川市にある「石の博物館」で石の鑑定会をやっている。ついでに近くのひすい海岸にも寄って石を探してみた。
以前ひすい探しで糸魚川を訪れたのはもう19年も前だった。新幹線ができて駅は立派になっていたが、他は大して変わらずほっとした。とりあえず富山の宮崎海岸へ。ここも昔のままだった。ひすい探しの人が数人いるのもいつもの光景。ただ、「ヒスイ棒」で武装している、それっぽい人が多かった。波打ち際をツラ~っとながめながら境海岸へと歩く。

境川まで行ったものの瑪瑙(めのう)もネフライトも見つからずめぼしい石はなかった。護岸工事の影響やテトラが増えたからだろうか。川も有望だと思ったが濁流になっていて諦めた。そりゃそうだ。この季節は雪解け水が大量に流れ込むから。

市振の道の駅で昼食。名物「たら汁」を食して気合いを入れ直した。市振から青海まで「えちごトキめき鉄道」で移動。勝山海岸を探索したが、風と波しぶきが激しく1時間ほどで退散してしまった。当然のことながら、大した石は拾えなかった。
FMMの鑑定会は毎月4日間ほど開かれる。朝9時に集合して整理券を受け取る。希望者が多い場合は抽選だ。4月は26日からだった。

初日の土曜の朝なら少ないだろうと思ったら30人以上が並んでいた。ドキドキしながら会場に入ると「この人数なら全員に回りますよ」と言われてほっとした。FMM太っ腹。ただし、鑑定する時間帯には枠があり、選ぶ順番は抽選になる。さすがに10時は人気がある。自分の番でも残っていたけど博物館をじっくり見たかったので希望者の少ない11時を選んだ。これで一安心だ。

心に余裕ができたところで改めて館内を見学した。さすが日本一のひすい博物館。これでもかというくらい多くのひすいが展示されていた。その中でもお目当ては「翠(みどり)の雫(しずく)」だ。愛好者が小滝川下流で見つけて2人がかりで引き上げてFMMに寄贈した原石だ。直接触れられるのがありがたい。

あっという間に11時。研修室で番号札が渡され、ドキドキハラハラしながら順番を待つ。鑑定してもらえる石は5つまで。トレーに入れて学芸員さんに見てもらう。静岡の海岸で拾った石にはメモを付けて正直に産地を申告した。結論は「ロディン岩」。ひすい産出を確認する論文がないから断定は難しいのでしょう。それに、ひすいにしてはちょっと怪しい部分もある。

勝山で拾った白い石は透閃石だと思ったが、「う~ん。白い透閃石はあまり聞かない。ロディン岩でしょう」となった。ロディン岩はひすいと同じくらい重く、見た目も似ているため区別が難しい。成分分析をすれば違いがわかるが、肉眼鑑定は限界がある。奥が深い石だ。いい勉強になった。
学芸員さんも静岡でひすいが採れることは知っていた。ただ、報告されている産地とは距離が離れている。問題はどこから来るかだ。「安倍川ではないか。蛇紋岩帯も確認されている」と地質図を示して推測していた。「ぜひ、行ってみてください」とけしかけてくる。向こうもツボを心得ている。
FMMはなかなか面白かった。次の課題も見つかったし、糸魚川まできたかいはあった。これまではひすい探しに夢中で後回しにしてきたけど、もっと早く訪れるべきだった。