フォッサマグナミュージアム(FMM)の学芸員さんから「ぜひ、行ってみてください」と安倍川の探索をそそのかされたので乗ってみた。しかし、川のひすいは難しかった。

安倍川中流部は河原が広い。遡行しなくて済むのは楽だけど、一通り見るだけでも大変だ。怪しそうな石を片っ端から拾って重さを確かめて観察した。それっぽい重さの石はあったけど、ひすいじゃなさそうなのもある。

比重を測るため持ち帰った。一番大きいのは2キロ近くあった。で、比重は2.6。思いっきり外れだった。あまり大きかったり小さかったりすると感覚が狂う。欲を出すのはやめるべきだと強く思った。
漬物石は必要ない。返却も兼ねて2回目の調査に赴いた。前回は徒渉場所に苦労したので水量の少ないもう少し上流にした。当てにしていた吊り橋はなくなっていたが河原には降りられた。

蛇紋岩は結構あった。糸魚川周辺の海岸で採れるキツネ石(「安倍川翡翠」というらしい。でもひすいではない)もちょくちょく見かける。でも、ひすいはなかなか見つからない。


ふと見ると異様に白い石が目に付いた。半分埋まっているのに、ばかでかい。幅60センチくらい。多少角は取れているけど、それほど摩耗しておらず、磨かれた部分はすべすべしている。風化した表面がFMMで見た原石にそっくりだ。ひすいに間違いないと思った。

持ち上げることができないので重さは確認できない。傷つけるのも気が引けたのでハンマーで欠き取るのはやめ、写真だけに留めた。その後も、同じような石は二つあった。多少は小さかったけど持つのは大変だ。

一辺10センチくらいのサイコロ型のやつは悩んだ。持ち帰ることは可能だが3キロ以上ありそうだ。外れたとき返すことを考えると諦めがついた。
近くに白い石が落ちていた。ちょっと軽めで形も気になったけど、似ているように見えたのでこちらを持ち帰った。しかし、比重は2.5 。思いっきり外した。でも、820グラムなので荷は軽い。
せっかく静岡まできたので海岸も寄った。こちらも、たくさんあるロディン岩を海にお返しするのが目的の一つだ。もちろん、ひすいも探した。ロディン岩とひすいは比重は同じくらいだが違いはある。
それは光沢と質感だ。ロディン岩の表面は粗くザラッとしている。ひすいの表面は滑らかですべすべしている。繊維状の結晶形が見える場合もある。今回はその違いを見極めるのも目的のうちだ。

天気はよく波も穏やか。ちゃんと見れば、それっぽい石はいくらでも落ちている。拾っては重さと形を確かめ、水気を拭き取って表面の質感を調べた。大半はロディン岩だが、20個に1個くらいはひすいらしき物があった。結構集まったけど、すべて持ち帰るわけにはいかない。精査して半分くらいにした。それでも11個になってしまった。結局、川と海に捨てた石は約2.5キロ、拾った石は2.7キロだった。ああ、また増えてしまった。

比重を測ったら2.96~3.15。すべて許容範囲内だった。面白いのは結晶が見えてきれいな石ほど比重が小さかったこと。緻密で重い石は結晶が見えなかった。中には糸魚川で採れるような緑っぽい石もあったが全体としては汚い。ひすいかもしれないが、宝石としての価値はないと思う。

だいぶひすいに近づいてきたという実感はある(糸魚川周辺ではさっぱりだったけど)。とりあえず今回で静岡の調査は一区切り付けた。次はもう少し間を開けてから安倍川を探索してみようと思う。石も返さなくちゃいけないし。