3度目で初めて和泉入本流を遡行できた(2024年8月25日)。
和泉入は名栗川水系の沢。最初の遡行は本谷を忠実に詰めた。ただ、H450メートルの二俣に掛かる滝の方が水量が多かったのが気になった。おそらく、そっちが本流だろう。それで昨年、再挑戦したのだが記憶だけを頼りにしたため1本手前の枝沢を進んでしまった。今回、ようやく目的を果たせた。
谷の入り口である下名栗諏訪神社に向かうと妙ににぎやかだ。幟が立ち出店もある。諏訪神社例大祭の日だった。笛や太鼓の音に合わせて獅子舞演者が庭場に向かうところだった。埼玉県の無形民俗文化財にもなっている有名な獅子舞だ。のぞいていきたかったけど、雷雨の予報なので先を急いだ。

入渓してみると昨夜の雷雨の影響で水量が多かった。釜が深くて難儀はしたけど、遡行に影響するほどではなかった。小滝が次々と現れて楽しい。少し手強い滝は、モロ濡れそうだったので巻いた。倒木がやや目立つものの突破が困難なほどではない。

お目当ての二俣は右岸から豪快に滝が流れ落ちていた。地形は見覚えがある。だけど滝はもっとショボかった。水量が多いとこんなに印象が変わるものなのか。念のため高度計で確認する。ここからが本番。気合を入れて行く。

当然、直登するつもりで取り付いたが、笠の上から水しぶきがバンバン飛んできた。濡れたくないのであっさり諦め、右の岩場から越えた。その先は階段状の地形が続く。こりゃ楽勝!と思っていたら、行手にでかい滝が見えてきた。
近づいてみると3段の大滝だった。水量が少なければ下2段は直登できそうだが、3段目はほぼ垂直。絶対に無理。結局、下2段も含めて全部巻いた。3段目の滝壺付近には古い石碑があった。表には龍神が彫られ、「小澤村」とも記されていた。


落ち口から先は谷が開け、一転して穏やかな渓相になった。源流部の様相だけど水量はまだ豊富だ。どこまで続くのかと思っていたら、すぐ先ですり鉢状の地形に突き当たり、突然水流が消えた。崩壊した斜面の下から水が湧き出している不思議な光景だった。


そこから、水の流れた跡に沿って進んだ。藪はないけどドロドロの草付きをアックスを頼りに30分ほど頑張ると登山道のある稜線に出た。場所も時刻もほぼ予定通りだった。

下山は枝尾根から諏訪神社に戻る計画だったが、お祭りの場にドロドロのなりで行くのも気が引ける。小沢峠経由で登山道を下ることにした。

そのおかげでレアなキノコを見られたのはラッキーだった。「猛毒」のカエンタケだ。食ったら一発であの世行きというだけでなく、触れても炎症を起こす可能性があるところが猛毒の所以だ。珍しいキノコではあるが、ナラ枯れの木に出るため、最近はあちこちで注意を呼びかける看板を見るようになった。実際、見つけたのはナラ枯れの木の周辺だった。そういう理由で出合う機会が増えるのは、あまりうれしくない。

幸い雷雨に遭わずに下山できた。登りは3時間、下りが2時間だった。奥武蔵の沢はお手軽な半面、しょぼいことが多い。その中でも和泉入は短いわりに楽しめる要素が多い。下りのラインを考える面白さもあるので、お勧めだ。