吾野駅でビバークした

投稿者: | 2026年1月2日
吾野駅でビバークした

駅で寝たかったわけではない。恒例の年越し山行で早々と敗退したトホホな結果だ。

飯能駅を31日の15時48分、丸山から金昌寺を目指して出発。16時3分に着いた天覧山は気温は8度、暖かい方だ。

気合いを入れて天覧山を出発
気合いを入れて天覧山を出発

多峯主山を下ってバス通りに出たところでヘッ電を点ける。暑いので上着を脱ぐ。久須美坂あたりからアップダウンが激しくなる。最初に里心がつくのがこのあたり。暖かいご飯が食べたいとか暖かい布団で寝たいとか思うが、こんなところで敗退するわけにはいかない(過去には一度あるけど)。目の前の一歩一歩に集中する。

天覚山は20時着。気温6.5度。夜景がきれいだ。写真を撮って水分と食料を補給する。歩き慣れたコースのはずだけどここでコースミス。南側の尾根を下ってしまい登り返した。東吾野からの道と縦走路以外にも道があるとは思わなかった。

夜景がきれいな天覚山。風がなく暖かい好条件
夜景がきれいな天覚山。風がなく暖かい好条件

2025年は4月から10月まで石探しを優先したためほとんど山に行ってなかった。それで年末年始に20時間近い縦走をするのはさすがに無理がある。12月になって奥武蔵でトレーニングしたが、出発が遅れて1度目は敗退。2度目もクダグダだった。最後まで歩けるか、自信が揺らいでくる。

大高山からの急な下りは結構こたえた。電車の音も聞こえて里心がつのる。本日中に帰るなら前坂が最後のチャンスだ。吾野に下山するか悩む。しかし、前坂到着は22時14分、最終列車にはギリの時間だ。乗り遅れて駅で一晩過ごすのはつらい。諦めて前に進む。

気温2度。かなり冷え込んできたので上着を着る。しかし、思ったように進まない。腰が重く、特に上りでスピードが出なくなった。それでも、歩けないわけではない。子ノ権現か、伊豆ヶ岳か。下山ポイントを考え始める。

スルギの少し手前で除夜の鐘が聞こえ始めた。ああ、もうそんな時間か。新年を迎える感慨はない。子ノ権現への上りでは思ったように足が進まず、かなり厳しかった。

子ノ権現には1日0時40分到着。やはり、ここまでか。初詣客が帰るところで照明はもう消えていた。なんだか寂しく、ちょっとショックだった。気温は0度、かなり冷えてきた。少し休めばもう少し進めたかもしれないが下りに余力を残しておきたいし、真っ暗な中の仁王さんに心も折れた。

子ノ権現で敗退。初詣の時間帯が過ぎたので照明が落ちていた
子ノ権現で敗退。初詣の時間帯が過ぎたので照明が落ちていた

問題はどこに降りるかだ。西吾野が近いけど、登山道途中の民家に犬がいる。真夜中にほえられるのは避けたい。車道は寒そうだし、遠い。一番電車は5時21分だ。一方、吾野は5時ちょうどが始発だ。ちょっと遠いけどビバーク時間は短くて済む。さすが、西武池袋線だ。吾野に決まり!(吾野から先は西武秩父線)

下山も楽ではない。洗掘が進んだ登山道はかなり緊張する。登っている時は体が温かかったけど下りは冷える一方だ。温かいのは足の裏だけ。駅に着くのを遅らせるため、ゆっくり歩いたからだろうか。

吾野駅には2時34分到着。ホームは明かりがつき、電車が停まっている。だけど駅舎は暗い。

吾野駅に到着。ホームは明るいが駅舎は暗い
吾野駅に到着。ホームは明るいが駅舎は暗い

ポットのぬるい湯でカップ麺を作り、残った食料を食った。自販機で暖かいドリンクも飲んだ。けど寒い。とりあえずベンチに座ってビバーク態勢に入った。

ベンチでビバーク。この体勢は足元が冷えてつらかった
ベンチでビバーク。この体勢は足元が冷えてつらかった

だんだん足先が冷たくなってきた。歩いているときは温かかったのに止まるとすぐに冷える。たまらず地下足袋を脱いでベンチに足を上げた。今度は体勢を変えて横になった。地面からの冷え込みがなくなり少しはマシになった。でも、寒いことに変わりはない。

しばらくするとおまわりがきた。初詣の警備を終えて駅の登山ポストに登山届を回収にきたところだった。どう見ても不審者なので声をかけられたが、事情を説明すると納得してくれた。逮捕されるかと思って緊張した。いや、悪いことは何もしてません。

結局、ベンチで横になった。つま先の冷えは収まったけど、やっぱり寒い
結局、ベンチで横になった。つま先の冷えは収まったけど、やっぱり寒い

午前4時、駅舎の明かりがついた。あと1時間か。下山連絡を入れておいたLINEに返信がきた。こんな時間に何やってるんだとツッコミを入れたくなるが自分も同類だった。しばらくすると駅員がホームに現れ、電車にも明かりがついた。いよいよ発車か、と思ったけどまだ4時10分だ。その後、駅長さんが駅舎の周辺とホームを巡回した。吾野は飯能から先の西武線では数少ない有人駅だ。

4時半をすぎると電車内に動きが出てきたので荷物をまとめる。4000系の方向幕に「各停 飯能」の表示が出た4時40分、ホームに上がる。運転手に声を掛けて電車に乗った。ふう、あったかい。生き返る。座席のヒーターは入っているが、まだ車内は暖まる途中だ。それでも十分ありがたい。当然だが乗客は自分1人だけ。電車は定刻通り5時ちょうどに出発した。

鍛え方が足りなかったから今回の山行はトレーニングの一環と割り切っている。敗退は想定通りとは言え、風もなく気温も高めという好条件だったのでやっぱり悔しい。次回はちゃんと歩き通せるように実績を積むことを新年の抱負としよう。あ、もちろん、クライミングもそれなりに努力します。

それにしても新年早々、貴重な体験ができた。今年はいいことありそうだ。

吾野駅でビバークした」への2件のフィードバック

  1. ちづる

    明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。お巡りさんがちゃんと巡回していることがわかり、貴重なレポートでした。

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    1. A山 投稿作成者

      駅舎の隅っこで息を殺してじっとしていたけど、ヘッ電を切り忘れていたので見つかっちゃいました。
      今年もよろしくです。

      返信

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