効果的なクライミングの上達は、「最も弱い環」を鍛えることだ―といろんな文献に出ている。ある程度技術が身に付いたところで思い当たる壁が「保持力」だろう。自分がそうだったように、これを鍛えれば飛躍的に登れるようになるはずだと考えるのは自然な成り行きだ。
フィンガーボードを使って半年、保持力は確かに強くなった。14ミリのエッジに10秒以上ぶら下がれるようになったし、懸垂回数も倍以上できるようになった。これで登攀力は飛躍的に伸びたはずだ。意気揚々と御岳にいったものの、全然上達してなかった。なぜだッ!
というのが今回のお題。クライミングって、そんな単純なものじゃないよねって言ってしまえばそれまでだけど、もうちょっと掘り下げてみたい。
そもそも保持力がネックになるような課題は、そんなになかったというのが大きい。今回取り付いた課題はほとんどがバランス系。保持力より姿勢やムーブの正確さの方が大きく影響する。暑い時期は岩場やジムの回数が減ってたから当然といえば当然の結果。

もう一つ気づいたのは面取りされたフィンガーボードと、エッジの鋭いチャートでは指のかかる位置が違うことだ。マミ岩中央(4級)では、ピンチで極小エッジをつかむスタートホールドを保持できずに何度も落ち、悲しくなった。

ただ、保持力強化が全然役に立たなかったわけではない。一時的につなぎで使っていた甘めのホールドでも、しっかり耐えられるようになった。そのおかげで小技を駆使することなく、より洗練されたムーブで課題をこなせた。そこはちょっと、うれしかった。


保持力の向上は安定したクライミングにつながったといえるだろう。バリバリ登れるようになったわけではないけれど、一定の効果はあったと思う。