「もう少し間を開けてから」と言いながら安倍川に通っている。前回「ひすいに間違いない」と言っていた石はすべて曹長岩だった。欲に目がくらむと判断力が鈍る。こうして漬物石が増えていくのだと理解した。
いまだに本物のひすいを見つけられないでいる。毎回、「これだッ!」と思う石はあるが自宅でじっくり調べると「やっぱり外れか」となる。で、石を川に返してまた漬物石を拾ってくるということを繰り返している。喜んで撮った写真にはアホ面がしっかり写っている。

ひすいと間違いやすいのは第一に曹長岩だ。白っぽくて表面にキラキラと光る結晶が見える。ただし、ひすいとは光り方が微妙に違う。派手で結晶と言うより劈開(へきかい)面だ。第一に比重が小さい。しかし、現地ではこの感覚がなかなかわからない。

川の石は海岸で拾えるものより大きいので、重さの感覚がずれていたのだ。かなり克服できてきたが、念のためつり下げ式のデジタルはかりを使うようにした。最小表示が10グラムなので大まかな値しか出ないが目安にはなる。計算方法が少しめんどくさいけど漬物石を持ち帰るよりはずっといい。
現地でひすいっぽいと思った石は2.45という数値がでた。それでも諦めきれずに持ち帰って測ったら2.59、やっぱり曹長岩だった。でも、重量は271.5グラム。これくらい持ち帰るのは許容範囲内だ。

もう一つ紛らわしい石があった。真っ白で緻密、一部が緑っぽい。よく見ると非常に細かい繊維状結晶の集合体のようだった。割ると粉っぽい感じで、そこが怪しいとは思ったが持ち帰って比重を測ったら3以上あった。「これは当たりかも」と一時ぬか喜びしたが、違った。硬度が足りない。ナイフでしっかり傷がついた。ソーダ珪灰石(ペクトライト)だろう。


他にも「安倍川の山葵石」と呼ばれる珪岩も拾ってきた。比重が2.8でがっかりした。

川の石は表面が磨かれてないので質感や光沢がわかりづらい。判断する要素が比重と形と硬度くらいだ。だから難しい。でもまあ、こんな失敗の繰り返しで、一歩一歩ひすいに近づいていくのだろう。

とりあえず、本物に出合うまではがんばろうと思う。