糸魚川に通うのはフォッサマグナミュージアムの石の鑑定会に参加するためだ。用が済めばさっさと帰ってもいいのだが、毎回「もしかしたら、ひすいが見つかるかも」と欲が出る。海岸を歩き回って空振りに終わり、どっと疲れる―というパターンを繰り返してきた。
そこで最近は、ひすい以外の石も見分けられるようになろうと、いろんな石に目を向けるよう努力している。フォッサマグナミュージアムには「セルフ鑑定コーナー」があって、メジャーな岩石なら手に取って観察できる。それを参考に海岸の石を観察し、火成岩くらいは区別できるようになりたいと考えた。
糸魚川駅には珍しく急行がきていた。しかも、通常のえちごトキめき鉄道は1両の気動車なのに3両編成の電車だ。市振まで直行する「国鉄形観光急行」というらしい。

絶景区間は速度を落とすので速くはない。姫川や親不知の見どころポイントでは放送案内があった。懐かしい気分は味わえたが、市振止まりなので海岸までが遠かった。
流紋岩と玄武岩はなんとなくわかるようになったが安山岩は迷う。花崗岩以外の深成岩も難しい。変成岩との区別もあやふやだ。

もちろん、ひすいは見つからない。フォイト電気石が入っている流紋岩は出合う確率が高く、ひすいからそっちにシフトしてしまう。大きな晶洞があれば電気石の結晶も大きいはずと探しまくった。緑っぽい結晶が見える石を見つけたので翌朝、フォッサマグナミュージアムに持って行ったら、「雲母でしょう」。小さな水晶もあったし、いわれてみれば、そうだよな。

以前見つけたゼリービーンズのような石と同じ種類の石を、また拾った。今回はやや透明度は落ちるものの、赤いグミのような石だ。紅簾石片岩かと思ったけど、結晶片岩ぽくない。堆積岩なのか、火成岩なのか、変成岩なのか、あるいは鉱物なのか、さっぱりわからない。

フォッサマグナミュージアムで見てもらったら「珪石です。大陸の砂漠の砂が固まった堆積岩です」と説明された。ラベルは「正珪岩」で「堆積岩 めったにない 大陸の砂漠の石英の砂がかたまった砂岩です。手取層(中生代白亜紀)の礫岩に礫として含まれていたものです。オーソクォーツァイトともいいます」と記されていた。
とても砂岩には見えないけど、なんで大陸の砂漠でできた石が海で採れるのかという謎は解けた。大事なのは「めったにない」レア物だということ。ひすいや苦土リーベック閃石曹長岩と同じくらい珍しい物だったらうれしいが、そうではないだろうな。